タスペーサーとは?スレート屋根の構造や塗装時の縁切りについて
タスペーサーとはいったい何?知識の無い業者がスレート(カラーベスト)屋根の塗装をすると雨漏りしてきてしまう場合があります。
今回はスレート屋根の構造や仕組み、そして塗装の際に重要な縁切り作業とその道具であるタスペーサーについてお話したいと思います。
スレート屋根(カラーベスト)の構造や仕組み
スレート屋根とはセメントに繊維質の素材を配合して薄い板状に加工したもので、陶器の瓦やセメント瓦に比べて軽量で、安価に施工できるため、発売から40年以上たった今でも新築の屋根に使用されています。
カラーベストやコロニアルとはスレート屋根の商品名です
屋根の構造用合板の上にルーフィングシートを貼り、サイズが約910㎜×414㎜厚さが約5.2㎜の板を順番に重ねて貼っていきます。
ルーフィングシートを貼った時点で雨漏りは完全に防げますが、シートの保護と美観や防音の為にスレート屋根を貼ります。
塗装することでなぜ雨漏りする?
縦の勾配方向には屋根材を半分以上重ねて貼りますが、横方向は重なっていないため矢印の部分からは雨水が入ります。
但し雨水が入っても、重なり部分には隙間があるためそこから水が排出され、中に水が溜まることはありません。
雨水が入っても下にスレート屋根材が重なっており、さらにその下にルーフィングシートもあるため絶対に雨漏りはしない構造になっています。
塗装した時に、写真の赤線部分が塗料で目詰まりしてしまうと水が排出されなくなり、中に水が溜まりやがてルーフィングシートや構造用合板を腐らせ、雨漏りしてしまうようになります。
塗料の目詰まりを防ぐのがタスペーサーの役割
この縦勾配の重なり部分が塗料で目詰まりしてしまわない様にするのがタスペーサーです。
この様に奥まで差し込むと重なり部分の隙間が大きくなり、雨水がきちんと排出されるようになります。縁切り作業ともいいます。
タスペーサーが発売される以前は、塗装後にカッターナイフ等で目詰まりしていた箇所に切り込みを入れて縁切りしていましたが、重みでひっついてしまう場合もあり、縁切りとしては不十分でした。
塗装後、これぐらい隙間が開いていれば大丈夫です。
隙間があるとそこから水が入るんじゃないの?と皆さん驚かれますが、スレート屋根に関しては隙間が無いと雨漏りしてしまうのです。
タスペーサーを使用しないとどうなるか
こちらは2018年の台風21号の被害に遭われた屋根の写真です。構造用合板が一部無くなっていますが、これは台風で吹き飛んだのではなく、塗装の際に縁切りをしていなかったため、中に水が溜まり腐ってしまっていました。台風被害の前から雨漏りがひどかったようです。
こちらの屋根も塗装後に雨漏りするようになった事例です。数日間雨が降っていなかったにも関わらず、切り込みをいれてみると中から大量の水が・・・縁切り作業後雨漏りはピタリと止まりました。
ちなみにこの屋根材はアーバニーという塗装には不向きな屋根材でした。
スレート屋根の塗装の際は必ずタスペーサー
スレート屋根材には様々な商品があり、形状もたくさんありますが基本的な構造は一緒で、塗装の際には必ずタスペーサー(縁切り作業)が必要です。また塗装前の高圧洗浄も非常に重要な作業工程です。
これらを理解していない業者に塗装工事を依頼すると雨漏りにつながる場合もありますので注意が必要です。